低濃度のフッ素イオンが歯の表面やエナメル質のハイドロキシアパタイト結晶の表面に吸着して、イオンコートとして被覆することで効果を発揮し、脱灰を抑制し再石灰化を促進すると考えられています。
フッ化物を口腔内に適用しても、フッ素イオン濃度はすぐに大幅に低下していきますので、高い頻度で使用できるフッ化物配合歯磨剤の使用は非常に効果的です。
低濃度であっても長期間フッ素イオンが歯面に存在する事が大切なので、フッ化物配合歯磨剤を使用する際は頻回にうがいせず(※)ごく少量の水で口腔内の隅々にまでいきわたされてから軽く吐き出すぐらいが効果的です。
ハミガキ後口腔内にたまっている唾液をはいた後、うがい1回分のお水を口に含み、5秒かぞえてはきだすだけでOKです。
キシリトールはミュータンスレンサ球菌(※)に利用されない非う蝕原性の糖アルコールで、砂糖と同等の甘さがあります。
作用はミュータンスレンサ球菌の酸産生の阻害と増殖の抑制です。
ミュータンスレンサ球菌にはキシリトールに感受性をもつ菌株と、もたない菌株が存在します。
非感受性菌株の特徴は、酸産生能も歯面への付着力も弱いことで、う蝕抑制に対してとても有利です。
キシリトールの継続的な摂取によって、非感受性菌株の割合が増えると、プラーク付着量が減少し、粘着性も低くなるので清掃しやすくなります。
キシリトールガムはその甘みと咀しゃくにより刺激時唾液の力を引き出してくれます。
ミュータンスレンサ球菌の多い患者さんや、刺激時唾液の少ない患者さんにお勧めです。
ミュータンスレンサ球菌とは、酸を産生する能力が強く、歯面に付着する菌が強いので、虫歯の病原菌の中でもっとも病原性が高い細菌のこと。
CPP-ACPには歯の再石灰化に必要なリン酸カルシウムが牛乳由来タンパクにより歯になじみやすい状態で高濃度に含まれています。
その為脱灰が起きている場所で起きている場所でリン酸カルシウムが効率的に浸透し、結晶化することにより、再石灰化作用を発現します。
カルシウムイオン、リン酸イオンの供給により、唾液の飽和度が維持される為、脱灰抑制作用もあり、攻守を兼ね備えた持菌を持っています。初期う蝕を認める患者さんにお勧めです。
馬鈴薯デンプンから作られたリン酸基を有するオリゴ糖が、カルシウムイオンと結合した物質です。
水溶性が高く、唾液にも安易に溶けて、再石灰化に必要なカルシウムイオンを唾液中に(※)供給し、唾液の再石灰化能力を高めます。
※唾液中には、歯を守るイオンが多く含まれています。
たとえば、重炭酸イオンは細菌が作った酸を中和します。
また、カルシウムイオンやリン酸イオンは、再石灰化に向かいやすくする役割があります。
お茶に含まれるポリフェノールにはミュータンスレンサ球菌に対する抗菌作用があり、う蝕抑制効果があると言われていますが、このポリフェノールはタンパクに強く結合する性質があり、ヒト口腔内では、唾液中のタンパクと反応し、抗菌作用が減弱してしまう為、プラークの沈着を抑制するものの、明らかなう蝕抑制効果があるとは証明されていません。
病変の脱灰を停止させ、再石灰化を促進させられる上記にあげた代表的なものをうまく生活にとり入れ、また、ホームケアするうえでも活用し、口腔内の健康につなげて頂ければと思います。
ひかり歯科クリニック山手台院
院長 北川 泰司