親知らずが腫れて痛くなった経験のある方は多いのではないでしょうか。
厄介な親知らずを放置してしまったゆえに、さまざまなトラブルが起きることがあります。
今回は、親知らずに起きやすいトラブルについて説明していきます。
親知らずとは、第二大臼歯のさらに後ろに生えてくる奥歯のことです。
だいたい20歳前後から生え始めます。
生え方は大きく分けて3つあります。
通常であれば他の歯と同様にまっすぐ上に向けて(上の歯の場合は下に向けて)生えてきます。
親知らずが斜めに生えてくるパターンです。親知らずの頭の半分だけ、または少しだけ出ていることが多く、トラブルを起こしやすい生え方です。
完全に骨の中で水平に埋まっている状態です。
生えてくることはありません。
現代人は顎が小さく、親知らずが生えてくるスペースが限られているため、まっすぐに生えてこないケースが多いです。
親知らずに起こりやすいトラブルには、以下のものがあります。
智歯周囲炎といいますが、親知らずが斜めに生えている場合、歯と歯ぐきの境目に食べ物のカスが入りやすくなります。その上歯ブラシが届きにくいため、汚れがずっと残ってしまいやすいです。そのため親知らずの周りの歯ぐきが腫れます。
この状態を放置していると、炎症が強くなり膿が出てきて、歯を支える周りの骨を溶かしていきます。
理由は「歯ぐきが腫れる」と同じですが、親知らずの周りは汚れが溜まりやすく、歯磨きがしづらいためむし歯もできやすくなります。
親知らずの周りが歯周病やむし歯になりやすいということを説明しましたが、1本手前の歯も同じトラブルが起きやすいです。
親知らずと手前の歯の間に汚れがたまると、そこからむし歯になりますが、むし歯は接している両面にできるため、親知らずだけでなく第二大臼歯にもできます。
また、親知らずとその手前の歯は骨を共有しています。そのため親知らずの周りが歯周病で溶かされると、手前の歯も影響を受けます。
必ずしも、親知らずをすべて抜かなければならないわけではありません。
しかし、トラブルを繰り返す場合は、歯科医師から抜歯を考えるように勧められることは多いでしょう。
親知らずの生え方には個人差がありますしトラブルの症状も人それぞれです。
よく歯科医師と相談しながら、どのような治療法を選択するか決めていきましょう。
ひかり歯科クリニック山手台院
口腔外科専門医 稲田 良樹